訳あり物件– category –

訳あり物件は、一般的な不動産会社が取り扱いを断ることの多い、権利関係や物件条件に事情を抱えた不動産を扱うカテゴリーです。共有持分、底地・借地権、再建築不可物件、事故物件、違法建築などが該当します。

これらの物件に共通するのは、買主が見つかりにくいことではなく、「相談先そのものが見つかりにくい」ことです。共有持分の売却を持ちかけても、権利関係の話になった時点で担当者の歯切れが悪くなる。再建築不可と伝えると、査定すら受けてもらえない。そうした経験をお持ちの方は少なくないと思います。

しかし、売れないわけではありません。共有持分は、自分の持分だけであれば他の共有者の同意がなくても売却できます(民法206条・249条以下)。再建築不可物件も、建築基準法43条の接道義務を満たさないだけで、既存の建物を活用する用途では十分に需要があります。底地は、借地権者への売却、第三者への売却、借地権との同時売却など、複数の出口が存在します。必要なのは「売れるかどうか」の判断ではなく、「どの出口を選ぶか」の判断です。

私は買取査定の実務で、こうした物件を専門に5年間担当してきました。そこで痛感したのは、業者ごとに得意な物件タイプが明確に分かれているという事実です。共有持分に強い会社が、必ずしも事故物件に強いわけではありません。全国対応をうたう会社が、地方の再建築不可物件を積極的に買うとは限りません。本カテゴリーでは、この得意領域の違いを軸に、物件タイプ別の業者比較と売却方法の解説をお届けします。

事故物件については、2021年10月に国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表し、告知の考え方が整理されました。制度に関わる記述は、条文や公的機関の一次資料を出典として明示したうえで解説しています。